キアシドクガ(黄脚毒蛾)はチョウ目ドクガ科の昆虫。 北海道,本州,四国,九州,朝鮮半島,シベリア,中国に分布する。 年1回発生、卵越冬。名称は成虫の脚が黄色いことに由来する。 幼虫には毒のあるドクガ特有の毒針毛は無く、一生を通じて毒は無いとされる。 日の高い内に成虫の飛ぶ姿を見て、多くの人は「白い蝶」と誤認する。
形態・生態
開張[2]は50-57mm、終齢幼虫の体長は35-40mm。翅は白く半透明で無紋。雄は翅脈および翅の外縁、特に前翅前縁が黒ずんでいる。成虫は年1回出現し、地域にもよるが5-6月頃、 寒地では7月頃見られる。 幼虫は毛虫で、地色は黒色、背面には黄色の斑紋が並ぶ。幼虫はミズキ、クマノミズキ、エゴノキの葉を食する。 卵で越冬し、春に孵化した幼虫は梢端にのぼり、葉を食べる。小さな頃は主に葉の裏側にいるが、成長すると葉を巻いて巣を作る。 老熟幼虫は粗い繭を作り蛹になる。雌成虫は幹の表面に膠状物質でおおわれた卵を一層に並べて産む。 灯火にも飛来するが、昼行性で食樹の近くを群をなして蝶のように飛翔する。 成虫の口吻は退化し、成虫期は数日と短い。 成虫の橙黄色の脚部には雌雄差がある。 雌では前脚は橙黄色で他の脚の跗節(先端部)も橙黄色であるが、雄は前脚のみ橙黄色で他の脚の跗節は通常地色の黒色から体色の白色の間となる場合が多い。 成虫は、静止する場合は一般的な蛾と同様「ハの字」に翅を伏せるが、木の上を盛んに這い回る場合は蝶の様に翅を立てる。
食樹被害
ときに大発生し、幼虫の食樹のミズキが枯死する場合がある。多数の幼虫に一葉も残さず食いつくされても幼虫発生時期を過ぎれば葉は再生し一度の食害だけでは通常枯死には到らないが、大発生が複数年続くと樹木が弱り大発生収束の後年枯死に到るとする研究報告がある。
写真・動画
関連項目
- ヒメキアシドクガ
参照資料等
- 宮田彬 (2011-2-20). “813.キアシドクガ”. 『日本の鱗翅類-系統と多様性』. 東海大学出版会. p. 873




