イワガラミ(岩絡み・岩絡・鑽地風、学名:Hydrangea hydrangeoides )は、アジサイ科アジサイ属の落葉つる性木本。別名はユキカズラ。若芽は食用にできる。
分布と生育環境
日本と朝鮮半島に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に分布する。山地の岩崖や林縁に自生する。
形態・生態
つる性の落葉木本。名前のとおり、幹や枝から細い気根を出して、ほかの高木や岩崖に付着し、絡みながら這い上って、高さ10 - 15メートル (m) くらいになる。山地の道路法面を上から這い下がる場合もある。大きな株では、つるの直径は5センチメートル (cm) を超え、樹皮も厚くなる。樹皮は灰色で、太い幹には縦に裂け目が出来るが、樹皮は剥がれない。枝先には短毛が生え、皮目は少ない。葉には葉柄がついて枝に対生し、葉身は長さ10 cmほどの広卵形から卵形で葉の先端はトゲのように尖り、葉縁にまばらな鋸歯がある。葉柄は長く、褐色の毛が生えている。
花期は夏(5 - 7月ごろ)で、ガクアジサイに似た花をつける。小さなややクリーム色の両性花が集まる花序のまわりに、大きな白色の装飾花が縁どる。装飾花は花弁状の萼片が1枚しかない。果実は、装飾花の萼片が1枚ついたまま冬まで枝に残っている。
冬芽は卵形から円筒形で、4 - 6枚の毛の生えた芽鱗に覆われる。頂芽のすぐ下には頂生側芽がある。側芽は、小枝に90度ずつずれてつく(十字対生)。側芽の下につく葉痕は三角形で、維管束痕は3個つく。
遠目からよく似るツルアジサイは装飾花の萼片が4枚で、イワガラミのほうが葉の鋸歯が粗く、装飾花も目立つ。
利用
春の若芽を食用にする。採取時期は関東地方以西が3 - 4月ごろ、東北地方では5月ごろが適期とされ、枝先に萌え出た若芽を摘む。軽く茹でて水にさらすとウリのような香りを楽しむことができ、くるみ・ごま・酢味噌・納豆などと和えた和え物や、酢の物、おひたし、煮びたしにする。また生のまま天ぷら、汁の実にもする。
近縁のテリハイワガラミ(Schizophragma hydrangeoides var. concolor)、ケイワガラミ(Schizophragma hydrangeoides f. molle)、ハナイワガラミ(Schizophragma hydrangeoides f. formosum)も同様に食用にできる。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、91頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 高橋秀男 監修、田中つとむ・松原渓 著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、106頁。ISBN 4-05-401881-5。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、204頁。ISBN 4-522-21557-6。




